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第一種中高層住居専用地域の土地活用術

公開日:2024/04/15
第一種中高層住居専用地域の土地活用術

都市部には、「第一種中高層住居専用地域」に指定された住宅地が数多く存在しています。

第一種中高層住居専用地域は、中高層の集合住宅を中心に建設が認められる地域であり、

一定の商業施設の建設も可能となっています。

人口が集中する三大都市圏では、土地の有効活用が課題となっています。

限られた土地で多くの住宅を建設し、一方で居住環境の良さを保つ必要があるためです。

第一種中高層住居専用地域は、そうした要請に応える土地利用の在り方を示しています。

本コラムでは、第一種中高層住居専用地域における土地の様々な活用方法と、実際の事例、

メリット・デメリットなどについて解説します。

中高層マンションや商業施設の建設など、多様な開発ポテンシャルがあることをご紹介できればと思います。

特に三大都市圏の中心部などでは、第一種中高層住居専用地域での開発が積極的に行われています。

規制はあるものの、一定の自由度を持った土地活用が可能です。

人々の住まいや生活の質の向上に寄与できる可能性を秘めた、重要な地域だと言えるでしょう。

第一種中高層住居専用地域とは

第一種中高層住居専用地域は、都市計画法に基づいて定められた12種類の用途地域の一つです。

中高層の集合住宅を中心に建設が認められる地域であり、一定の商業施設の建設も可能です。

集合住宅の建設に関しては、高さ制限は原則60mまでと比較的ゆとりがあります。

ただし、地区計画などで個別に高さ制限が設けられている場合もあります。

また、建ぺい率は60%、容積率は200%が上限となっています。

一方、商業施設の建設が認められるのは、一定の規模以下の場合に限られます。

店舗の総床面積が3,000㎡を超える大規模な商業施設は建設できません。

都市の無秩序な商業化を防ぐ狙いがあります。

このように第一種中高層住居専用地域は、中高層集合住宅の建設を中心としつつ、一定の商業施設の建設も認められています。

例えば、集合住宅の低層部分に商業テナントを入れるなど、居住と商業の共存を目指した開発が可能です。

第一種中高層住居専用地域の指定は、都市計画区域マスタープランに基づいて行われます。

マスタープランでは、地域の特性に応じて用途地域が決められ、第一種中高層住居専用地域に指定された地域では、

上記の規制内容が適用されることになります。

第一種中高層住居専用地域は、住宅と商業の調和を図りながら、土地の高度利用を目指す地域といえます。

都市における人口集中に伴う住宅需要に応える場所の一つであり、大都市圏を中心に数多く存在しています。

一方で、住環境の悪化を防ぐ規制もあり、賢明な土地活用が求められます。

第一種中高層住居専用地域での土地活用方法

1 賃貸集合住宅の建設

第一種中高層住居専用地域で最も一般的な土地活用法は、賃貸用の集合住宅の建設です。

高層のタワーマンションから低層のアパートまで、様々な形態の賃貸住宅が建設可能です。

三大都市圏の人口集中地区では、賃貸需要が根強いことから、収益性の高い事業化が期待できます。

高層マンションの場合、60mまでの高さが認められるため、20階建てクラスの大型物件も建設できます。

ただし、日影規制などの関係で実際に建設可能な階数は限られる場合もあります。

人気の立地では、高額な家賃設定も可能でしょう。

一方、低層のアパートであれば、周辺環境への影響が少ないメリットがあります。

ファミリー層をターゲットにした2〜3階建ての賃貸アパートなども、第一種中高層住居専用地域であれば建設可能です。

2 分譲集合住宅の建設

賃貸住宅に加え、マンション分譲の事業も第一種中高層住居専用地域で行えます。

中高層のタワーマンションはもちろん、低層の庄内マンションなども建設が可能です。

立地や物件のグレードによっては、高額な分譲価格が期待できる可能性もあります。

特に三大都市圏の中心部の第一種中高層住居専用地域では、超高層の分譲マンションが建設される例もみられます。

景観への影響が大きいため、周辺への配慮が求められますが、富裕層向けの高付加価値マンションとしての

需要はあるでしょう。

3 商業施設併設型マンションの建設

第一種中高層住居専用地域では、一定規模以下の商業施設の建設も認められています。

そのため、マンションの低層部に商業テナントを入れた、居住と商業が共存する複合開発が可能となります。

マンション住民の購買利便性が高まるメリットがあります。

商業施設の規模は、総床面積3,000㎡以下が上限とされています。

大型スーパーまでは入れられませんが、コンビニやドラッグストア、飲食店などの生活利便施設は設置可能です。

マンションのグレードや立地次第で、売り場面積を工夫する必要があるでしょう。

4 その他の活用法

上記以外にも、病院や老人ホームなどの医療・介護施設や、ホテル、学校などの建設が、

条件次第では第一種中高層住居専用地域内で認められる場合があります。

ただし、施設の用途や規模によっては制限がかかります。

このように、第一種中高層住居専用地域では、集合住宅を中心として、様々な不動産開発が可能です。

一定の規制はありますが、多様な土地活用のチャンスがあると言えるでしょう。次に、具体的な事例を見ていきましょう。

第一種中高層住居専用地域での土地活用の事例

1 大規模賃貸マンション建設の事例

東京都渋谷区の第一種中高層住居専用地域に、高層賃貸マンションが建設されたケースがあります。

最寄り駅から徒歩5分の好立地で、地上26階建て、総戸数272戸の大型マンションが完成しました。

開発会社によると、建設地の用途地域が第一種中高層住居専用地域に指定されていたことから、

高層マンションの建設が可能となったそうです。

60mの高さ制限はありましたが、日影規制をクリアできる高さであり、大規模な開発を実現できたといいます。

建物の低層部分には商業テナントも入居しており、マンション住民の生活利便性も確保されています。

総工費は約150億円と試算され、単身者向けの相場より高めの家賃設定となっているとのこと。

立地の良さを評価され、記録的な契約でした。

2 タワーマンション分譲の事例

神奈川県横浜市の第一種中高層住居専用地域では、超高層の分譲マンションが建設されたケースがあります。

地上51階建て、総戸数860戸の大規模タワーマンションです。

開発業者によれば、横浜の中でも特に高級住宅地と評価される立地だったことから、高額分譲マンション開発を決めたそうです。

建設地が第一種中高層住居専用地域に指定されていたため、51階建ての高層タワーが実現できたといいます。

一方、高層化に伴う日影の問題などから、周辺住民との調整に時間を要したとのこと。

その結果、最終的には公開空地の設置や壁面の素材使いにまでこだわり、周辺環境に配慮したデザインとなりました。

最高値6億円を超える超高額物件ながら、宅地需要者の高評価を得ています。

3 商業施設併設マンション建設の事例

東京都台東区の第一種中高層住居専用地域では、商業施設を併設した分譲マンションが建設されました。

地上14階建て、総戸数120戸のマンションで、低層部分にはスーパーやクリニックなどが入っています。

オーナー企業によると、第一種中高層住居専用地域内では一定の商業施設建設が認められることから、

マンションと商業の複合開発を選択したそうです。

ただし、商業施設の総床面積は3,000㎡を超えないよう、テナント計画を立てる必要がありました。

立地は生活利便性が高く、マンション購入者の多くが「住居とお買い物の両立」を評価したといいます。

自社の強みでもある商業施設との併設で、分譲販売でも大きな好評を博したそうです。

4 学校法人による校舎建設事例

千葉県浦安市の第一種中高層住居専用地域に、私立中高一貫校の校舎が建設されました。

地上8階建ての校舎棟に加え、体育館なども併設された比較的大規模な施設です。

学校法人によると、教育環境に加えて生活環境の良さも重視したためこの立地を選んだそうです。

第一種中高層住居専用地域の規制で、必要な校舎が建設できたことも決め手になったといいます。

施設の広さや設備の良さから、見学会には多くの受験生が詰めかけたとか。規模は大きいものの、

住宅地の環境は守られているため、周辺への影響は少ないようです。

このように第一種中高層住居専用地域では、様々な形態の不動産開発が行われています。

集合住宅を中心に、建設規模や目的に応じた開発がなされていることが分かります。

続いては、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

第一種中高層住居専用地域での土地活用のメリット・デメリット

第一種中高層住居専用地域での土地活用には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

・高度な土地利用が可能
中高層の集合住宅建設が認められている第一種中高層住居専用地域では、限られた土地で多くの住戸を確保できます。

人口が集中する都市部での土地の効率的な活用が図れるのがメリットです。

高額分譲の市場が見込める 立地や建物グレードが良ければ、高額な分譲価格での販売が期待できます。

富裕層向けの高付加価値マンション開発には適した地域だと言えます。

賃貸需要が根強い 第一種中高層住居専用地域は、都市部の人口集中地区に多く見られます。

そのため、ビジネスや通勤利便性が良く、賃貸需要が根強いのが特徴です。

デメリット

・周辺環境への配慮が必要
中高層建築となるため、日影や眺望阻害、交通渋滞の問題など、周辺環境への影響が大きくなります。

対策が求められ、コストアップにつながる可能性があります。

・建設コストが高くなりやすい
高層建築となるため、基礎工事や設備工事などの費用が嵩みます。

建物自体の工事コストが高くなりがちで、事業採算性を左右します。

・高度な専門性が要求される
大規模開発となるため、設計、施工、販売などあらゆる段階で、高度な専門性が要求されます。

付随するコストの増加にもつながります。

規制内容を誤解なく理解する必要がある 建築物の用途制限や建ぺい率、容積率など、複雑な規制が数多くあります。

誤解なく内容を理解し、対応しなければなりません。

第一種中高層住居専用地域での開発は、メリットが大きい反面、デメリットも少なくありません。

規模が大きくなればなるほど、リスクも高まります。慎重な事業性検討が求められます。

第一種中高層住居専用地域の土地活用に向けて

第一種中高層住居専用地域での土地活用を検討する際は、以下の点に留意が必要です。

用途地域の確認と規制内容の理解

まず対象地が第一種中高層住居専用地域に指定されているかを確認します。

その上で、建ぺい率、容積率、高さ制限などの具体的な規制内容を理解しましょう。

自治体の都市計画課などに確認し、規制の詳細を把握することが重要です。

周辺環境への影響検討

第一種中高層住居専用地域での開発では、日影、眺望阻害、交通渋滞など、周辺環境への影響が大きくなる可能性があります。

事前に専門家によるシミュレーションを行い、対策工事のコストも想定しましょう。

事業採算性の綿密な検討

第一種中高層住居専用地域の開発は大規模になりがちで、費用が嵩みます。

設計、建設、販売の各段階のコストを正確に積算し、収支の精査を行う必要があります。

一定の事業リスクも考慮に入れましょう。

許認可手続きへの対応

大規模開発となるため、建築確認申請をはじめとする様々な許認可が必須となります。

行政と綿密に打ち合わせを重ね、必要書類の準備など、遺漏のない対応が求められます。

高度な専門性を有する事業体制の構築

設計、施工、販売など、あらゆる段階で高い専門性が要求されます。

不動産会社単独では難しい場合も多く、適切な協力事業者を見つけることが重要です。

プロジェクト体制を整える必要があります。

分譲の場合は顧客ニーズの把握

 
分譲マンションの建設を検討する場合は、潜在顧客のニーズを的確に把握しましょう。

立地に合ったグレードと価格設定、商業施設併設のニーズなどを考慮に入れる必要があります。

このように第一種中高層住居専用地域での土地活用には、多くの検討課題があります。

一方で、メリットも大きいだけに、着実な準備を重ねれば、収益の高い事業化が見込めるはずです。

リスクとリターンの両面から、総合的な判断が求められます。

まとめ

第一種中高層住居専用地域での土地活用は、規模が大きく一定のリスクを伴いますが、

その分多様な可能性があることがわかりました。

中高層マンションの建設をはじめ、商業施設との複合開発や、高級分譲住宅の建設など、

立地特性を生かした開発が期待できます。

ただし一方で、日影問題への対応や、建設および許認可コストの増大など、デメリットも少なくありません。

大規模開発に伴う高度な専門性が求められ、事業リスクも高くなります。

そのため、綿密な事業採算性の検討が不可欠となるでしょう。

人口が集中する都市部では、限られた土地で多くの住宅を建設する必要があります。

第一種中高層住居専用地域は、そうした要請に応える重要な役割を担っていると言えるでしょう。

一方で、無秩序な開発を招かぬよう、周辺環境への配慮も求められます。

適切な規制の運用と土地活用が両立できるよう、開発事業者には高い責任が課せられています。

土地の有効活用と、良好な居住環境の確保の両立に向けて、第一種中高層住居専用地域での

賢明な開発が重要となるでしょう。

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