「安定した資産運用」の安定とは何かを考える
資産運用を始めるとき、本記事のジャンルのように不動産なのか、または証券や生命保険なのか、大筋を決める必要があります。
また不動産と決めた場合もハウスメーカーへの請負なのか、既存物件のワンルーム投資なのか、さらにはREITや不動産クラウドファンディングなのか…など、投資においては「安定」という言葉がキーワードになります。
では、この「安定」とは、いったいどのような意味なのでしょうか。
一緒に噛み砕いていきたいと思います。
安定した資産運用の「安定」とは
資産運用における安定は、1つの意味ではありません。
資産運用には様々なリスクがあり、運用開始時に想定できない種類のリスクが少ないことを安定と称します。
不動産における土地活用をモデルに見ていきましょう。
入居者が想定通りに集まらない(空室のリスク)
当初想定していたほど入居者が集まらず、高い入居率が維持できない状況を指します。
土地活用の前には想定家賃収入と支出をまとめた事業計画書を作成しますが、記載内容通りに進まないリスクです。
空室リスクを除き安定性を高めるには、地域のニーズと離れた物件を建築しないことです。
ファミリータイプの需要が高いのにワンルームを建てる計画違いや、地域的に自動車のニーズが高いのに駐車場スペースを確保できていない(周囲に貸駐車場が無い)事例などです。
築年数とともに家賃が著しく下がる(家賃下落のリスク)
新築のときは問題ないけれど、築年数が進んでくると家賃が著しく下がる家賃下落リスクです。
不動産投資は想定収入が下がりにくく、安定した投資といわれることが多いのですが、このように家賃収入が下がると不安定さが増します。
購入時・建築時には地域が引き続き発展し、現在の家賃が維持されるかシミュレーションすることが大切です。
また築年数が進んできた折や入居者が退去したタイミングで、定期的にリノベーションを行って物件価格を維持することが求められます。
災害(火災・地震)のリスク
物件への災害リスクも考慮しなければなりません。
2011年には東日本大震災が発生し、多くの不動産物件も被害を受けました。
空室リスクや家賃下落リスクはボディーブローのような継続的なリスクですが、災害リスクは何も予兆がないところから突然降りかかります。
対策として火災保険や地震保険がありますが、損害保険は既に発生した被害に対して補償をするものです。
可能であれば、火災や地震のリスクが少ない物件を所有することをお勧めします。
地震であれば耐震性の強い建物です。
耐震基準は当然として、建物の倒壊可能性を可能な限り削減することです。
火災に関しては同様に耐熱性はもちろんですが、周囲の建物との人口密度なども合わせて対策を講じたいところです。
残る災害には土砂崩れや水害などがあります。
このあたりのリスクを予防するには専門業者が作成し、行政の地域課や災害対策の部署に常備されているハザードマップの確認を推奨します。
自分の購入する物件がどのようなリスクにあるのかが把握できますので、リスクを踏まえて土地活用の方法を決めるようにしましょう。
初期投資の後のリスクコントロールを再確認しよう
先代から土地を承継したケースなどは自分でリスクをもとに判断することなどできません。
ハザードマップ上で危険と記載されても、相続した土地をそのままにしていたら固定資産税と都市計画税が課税される、といった悩みも尽きません。
安定した資産運用で大切なのは、たとえ初期投資(不動産の購入や相続)で選択肢が無い状況があっても、そのあとの購入後(ランニング)に可能な対策をすることです。
その対策に取り組むか、それとも黙殺しているかによって、リスクは大きく変わります。
また、最新情報を仕入れられるようになっておくことも大切です。
一例で挙げるとするなら「空き家」が当てはまるでしょう。
10年ほど前は所有する土地に何かしら建物を建てていれば固定資産税と都市計画税の削減対象となっていたものの、2015年に制定された空き家対策特措法により、一連のプロセスの先に「特定空き家」とされた物件は税金の減免対象では無くなるという変更がされました。
2023年現在、この空き家対策特措法の改正が予定されており、特定空き家の前段階を「管理不全空き家」として節税メリットの対象から外す仕組みが導入されます。
この改正を知らず、建物を建てておけば安心と手を打たず、また特定空き家や管理不全空き屋の認定条件である行政との交渉を進めていない場合、ある日突然税金の減免対象から外されるリスクが生じます。
対象外にされると、不動産運用の収支面に著しい影響を与えるため、常に情報収集を進めて避けなければなりません。
不動産は安定した資産といわれますが、その安定は購入前の入念なチェックと、購入後に粘り強いメンテナンスのもとに成り立ちます。
そのうえで不動産の安定性を享受しましょう。
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