個人資産での土地活用を考えてみる
個人資産として土地を持っていれば、それを活用したくなります。
アパートやマンションを建てる、土地を貸す。こうした方法が代表的で、活用例はネットに数多く掲載されています。
今回は少し目先を変えて、土地活用の方法というよりも、「土地活用の目的や法人化の検討」について考えていきます。
個人資産で土地活用する目的は
土地活用の目的、というと「お金を稼ぐこと」。
確かにそれがメインの目的といえるでしょう。
ただ、収益をあげるのが目的だけではなく、土地活用は節税対策にもなります。
活用方法によっては地域貢献も可能です。
個人資産という大事なものを活用する目的について考えてみましょう。
収益を期待
収益を期待するのは土地活用の大きな目的です。
地主さん、大家さんの中には土地活用だけで生活している人たちもいます。
生活できるだけの収益を得て早期退職を目指すような「FIRE」という言葉もあるくらいです。
アパートやマンションなどを建築して賃貸すれば大きな収益が期待できます。
相続税対策
土地活用には節税対策の面もあります。
代表的なのは相続税対策で、土地上にアパートなどが建っている場合、その土地は貸宅地という扱いになり評価が下がります。
建築費用を借りている場合は、ローンの分が資産から減額扱いです。
このように、土地活用をしていると各種の特典が受けられ、相続税対策に有利となります。
固定資産税対策
税金対策は相続税だけではありません。
相続税は相続が発生したときにかかる税金で、固定資産税は毎年かかります。
この固定資産税は土地上に居住用の建物がある場合には一定規模までなら評価額が6分の1となるのです。
更地の時と比べると大きな節税になります。
地域貢献
土地活用は単にお金を稼ぐ手段だけではなく、地域貢献にもなります。
介護施設や福祉施設などを建築すれば、目に見えるかたちでの地域貢献です。
そうでなくても、アパートやマンションを建築して運用していても社会貢献といえます。
何もしない場合に比べて経済活動が発生し、地域の活性化にも貢献しているからです。
土地を運用すればそれだけでも地域には貢献しています。
法人化の検討
個人資産というと、あくまで個人が個人所有のままで土地活用するイメージがあります。
ですが規模によっては、法人化したほうが費用や税金を削減できる場合もあるのです。
郊外でもアパートやマンションを数棟所有していれば、法人化のほうがよい場合もあります。
それでは法人化の特徴についての解説していきます。
税率が低い
個人富裕層に対する所得税や住民税の税率は上昇傾向です。
一方、法人税はその反対で下がる傾向にあります。
法人税の実効税率は、所得が800万円超の部分が「約35%」、800万円以下の部分は「約25%」です。
これに対する所得税や住民税は合算すると、最高で「55%」ほどになります。
収入によっては法人のほうが節税可能です。
分割が容易
不動産のデメリットの1つに分割できない、あるいは分割がしにくいことがあげられます。
不動産は共有もできますが、これはいずれ争いの種にもなります。
相続が発生する際に分割は大きな問題です。
法人にしておけば株式によって会社に対する権利を分割できます。
分割しにくい不動産でも法人が所有し、その法人を複数の人で持てばよいのです。
経費の範囲が広い
土地活用でも経費は認められています。
ただし、それは土地活用に関するもの限定です。
電話代や旅費交通費も不動産会社とのやり取り、物件との往復などに限られます。
これに対し、法人の場合はこうした限定はなく、個人の土地活用に比べて認められる経費の範囲が広がります。
売却時の法人税は個人よりも高い場合もある
個人の場合、譲渡所得税は所有期間によって税率が変わります。
長期譲渡所得の場合は所得税と住民税、復興特別所得税合わせて20.315%です。
法人税の実効税率は所得が800万円超の部分が約35%ですので、長期譲渡所得よりも税率が高いことになります。
法人税には所有期間で税率が変わる制度はありません。
このため、長く所有している不動産では個人よりも税金がかかる場合もあります。
法人住民税がかかる
法人には法人住民税が等しくかかります。
その額は自治体によって異なるものの、年間およそ7万円から8万円程度です。
法人税の場合は赤字であれば課税されません。
また、赤字の繰越も10年間と個人の3年間よりも長期ですが、法人住民税はたとえ赤字であっても課税されます。
まとめ
サラリーマン大家も多くなった現在、個人資産の有効活用を多くの人が考えています。
主に収益をあげて収入の足しに、あるいは独立の足掛かりに、といった経済的な側面が中心です。
ですが、これまでお話ししたように、土地活用は単に収益を上げるだけではありません。
また、収益を考えるなら法人化も視野に入ってきます。
法人化は規模によっては手間ばかりかかってしまいますが、一定規模以上の土地活用では法人化にメリットもあります。
土地活用の規模を考えてながら検討してみましょう。
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