田舎の山は土地活用ができるのか考える
相続で承継した土地のなかには、宅地や雑種地といった「建物を建てることのできる土地」ではなく、山の場合もあります。
ご存じの通り、山は固有の土地であり、不動産資産であるためです。
ただ、山を相続した相続人にとっては、土地活用が難しい負の遺産といった印象が強いのも事実でしょう。
解決するポイントはどのような点でしょうか。
今回の「山」をテーマに、標高数百メートルの本格的な山から、丘のような小盛り上がりの土地まで共有して使える知識です。
山を土地活用するときの想定デメリット
メリットより先に、デメリットが不安になるのが山における土地活用です。
では具体的に、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。
正確な境界が曖昧
相続をするときや、相続前後に売買をするとき、面積にもとづいて売買価格を決定します。
ところが山には平地のような境界が曖昧なケースが多いです。
平地であれば境界線を定めて客観的にわかる印を設置しておきますが、山は斜面や草木に隠れてしまうことがあります。
そこで、折に触れて隣地の所有者と合意する「境界確定」を行います。
両者で厳密に面積を測定することもありますが、ほとんどの場合、両者のなんとなくの合意のもとで境界を決めます。
隣地の所有者と良好な関係を築けていたらいいのですが、さまざまな人間関係の齟齬で円滑なコミュニケーションが取れない場合があります。
なかには境界確定の立会いを拒否されることもあります。
その場合は境界確定自体ができないため、山のなかの所有地を土地活用したり、売却したりすることができません。
境界確定の立会いができない場合は、境界確定訴訟にて争うこととなります。
諸々の活用が遅れてしまうため、訴訟には二の足を踏んでしまいますが、代替案は存在しないのが現状です。
斜面が多く土地活用できない
当然ですが、山の特徴は斜面が多いことです。
戦国時代の城などは平地のところを探し、もしくは均(なら)して平地にし、建築物を築いてきました。
当然、今日の土地活用は敵に攻め込まれるリスクを考える必要があります。
また現在建物の敷地は必ず道路に接していることが条件とされ、山で土地活用するときに大きなネックとなることもあります。
そもそも市街化調整区域では建物は建てられません。
また前提条件として、土地活用で山に賃貸アパートを建てたとして、高い入居率は見込めません。
山を下りるとすぐに駅や商店街、また学校や工場がある場合は例外ですが、希少な例といえるでしょう。
整地にお金がかかる
運よく道路と繋がって、土地活用すれば収入が見込める場合も、山の整地にはお金がかかります。
草木の除去費用や平らにする費用など、先行投資の額は土地活用のパフォーマンスを著しく悪化させるでしょう。
このように、山を土地活用することは費用がかかります。
一方で収益を生むには解決しなければいけない問題が多く、縁あって所有権を獲得しても頭を抱えてしまうものです。
何よりも頭が痛いのは、山だろうが所有地である限り、固定資産税と都市計画税がかかることです。
何か建物を建てれば軽減措置が適用できるのに、建てるには先行投資が必要という矛盾した状況となります。
なお、山は宅地に比べて固定資産税の税率が低くなるほか、課税評価額30万円未満の場合は、税金の課税対象となりません。
土地活用する方法を丸ごと専門家へ相談するのが良い
このように山の土地活用は難点が多く、ともすれば手つかずになりがちです。
固定資産税がかからなければ実質の持ち出しがないため、それも選択肢なのですが、何かしら有効活用をしたいもの。
そこで土地活用する方法を、丸ごと専門家に相談してみましょう。
土地活用をするのか、しないのかを自分で判断して検討するには、山は隠れた条件が多く難しいためです。
一個人の方では、よほどの不動産知識や経験がない限り、山の土地活用は厳しいといえます。
ここまでお伝えしたようなネックがある一方で、山の購入を得意とする買取業者がいたり、山の売買をサポートするポータルサイトも存在します。
ここで注意したいのは、業者が「良い点ばかり」を謳わないかどうかです。
土地活用の営業は良い点ばかりを主張してきます。
「土地活用すれば絶対に収益が出る」といって建物の請負建築の契約を取り、実際稼働した建物は半分以下の入居率となっては目を当てられません。
安心できるのは、デメリットや懸念点も伝えてくれるプロフェッショナルな業者です。
メリットとデメリットの十分な情報を並べたうえで、意思決定を委ねてくれる業者を選ぶようにしましょう。
もうひとつは土地活用そのものを生業としているのではなく、不動産コンサルティングとして仕事をされている専門家から、客観的な見解を入手することです。
こちらのコラムをお読みの方のなかには、既に山の所有権を持っていなくても、実家に住む父母が所有しており、いずれ所有権が自分のところに来るだろう、という方も多いでしょう。
その場合は時間的猶予があるため、早々に山の土地活用のパートナーとなる存在と信頼関係を構築することが大切です。
私たち大倉では、「TOTIKATSUplus」を通して、土地活用、資産運用などに関するHow toや成功事例、アドバイス術などをご紹介しております。
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