土地を売るときの固定資産税の取り扱いを知ろう
固定資産税は毎年課税される税金です。
決まった時期に支払うため、その時期は気になるけれど、それ以外はあまり気にしない方も多いことでしょう。
この固定資産税は売買の際にも重要になってきます。
今回は土地を売ることを想定して、土地売却時の固定資産税の取り扱いを解説します。
固定資産税の基本
「固定資産税」はその名の通り、固定資産、つまり土地や建物、償却資産などの価値に応じて支払う税金です。
固定資産税は不動産所有と切っても切れません。
まずは固定資産税の基本概念からお伝えしたいと思います。
誰が支払い、どこに支払うのかなど、あらためてのおさらいと、基本的な仕組みをから確認していきます。
納税義務者は誰になるか
納税義務者、つまり固定資産税を支払う義務があるのは、毎年1月1日時点での所有者です。
「所有者」が対象のため、賃貸アパートやマンションの入居の方(お部屋=不動産を借りている方)は課税されません。
1月1日時点で所有者に課税されるものの、すぐに課税されるわけではありません。
おおむね4月頃に納税通知が届きます。
年の途中で所有者が変わっても「納税義務者」は変わらない
上記でお伝えした「納税義務者」ですが、年の途中で所有者が変わったとしても、納税義務者に変更はありません。
例えば、1月2日に、土地や建物、償却資産等を売り買いしたとしましょう。
1月2日~12月31日まで、1年のほどんどの期間を所有していますが、納税義務があるのはこの新所有者でなく、1月1日に所有していた旧所有者になるのです。
こうした仕組みのため、売買に際しては後ほど説明するような清算が行なわれるのです。
賦課税で市区町村が計算する
固定資産税を課税するのは市区町村です。
「賦課税」といった課税計算も市区町村が行ないます。
「税金は勝手に計算されて課税されるのが当たり前」と思うのは、源泉徴収されている方(企業にお勤めの方)になるでしょう。
自営業の方などは確定申告で自ら所得税を計算して納税しています。
固定資産税は自ら申告する税ではなく、市町村が計算して課税される税金です。
建物があると安くなる
この固定資産税、土地のうえに居住用の建物があると、土地自体の固定資産税が安くなります。
居住用建物がある場合、その評価額は最大で6分の1までの減額です。
自宅や賃貸用物件を所有している方にはありがたい仕組みとなってます。
その反面で空き家がなかなか解体されず、空き家問題の原因ともなっています。
それだけ固定資産税は不動産とそれを取り巻く生活に密着しているのです。
不動産売却時の固定資産税の取り扱い
売買がされたとしても、その年の固定資産税は売主である1月1日の所有者に課税されます。
売主の立場からすると少々理不尽です。
こうした不公平感をなくすために不動産の実務では清算が行われます。
この清算も売買にあたっては売主買主とも知っておくべきでしょう。
不動産売却時に固定資産税をどのように取り扱うのか、解説していきます。
買主との分担が一般的
その年の固定資産税は、買主と日割りで清算するのが一般的です。
よほど買主のほうが強い立場でない限り、これは全国的な慣習となっています。
購入した日からは買主が固定資産税を負担するのが公平でしょう。
購入日を基準として、それ以前と購入日以後の固定資産税を計算し、買主が売主に支払います。
起算日がポイントになる
清算の基準日が購入日であることはわかります。
スタートの日付ですが、1月1日基準と4月1日基準が地方によって異なります。
4月1日基準があるのは、年度の始まりであり、実際に固定資産税を納税する時期と重なるからです。
かつては地方によってある程度決まっていましたが、近年では場所によらず、両方の基準が併存しているような状態となっています。
計算は不動産業者にお任せしよう
基準日がいつの時点であったとしても、固定資産税の清算の計算は、不動産業者にお任せした方が得策です。
もちろんご自分で計算されても全く問題はありませんが、不動産業者は不動産を取り扱うプロフェッショナルな集団です。
金額計算も手慣れたもので、不動産業者によっては表計算ソフトアプリケーションを使用し、万が一の計算誤りがないよう確実な計算式が組まれています。
お金の話ということもあり、売主と買主の関係性を悪化させる原因にもなりかねません。
ここはお任せするのが無難です。
法律上の手続きではない
この清算手続きは、法律に記載されている制度ではなく、あくまで慣習に過ぎません。
買主の立場が強い場合や農地などで税金が極めて安い場合には、清算を行わないこともあります。
一方売主からすると、買主から売買代金以外にお金がもらえるのです。
それも売却日以後の、自分の所有物でなくなったあとの税金です。
売主から清算を辞退することはほとんどありません。
清算しないと売主が損をする
この清算手続きは、行わないと売主が損をしてしまうことになります。
確かに税金の制度上は1月1日の所有者が納税義務者ですが、自分の所有物でなくなったあとの税金まで払いたくないのが人情です。
また、こうした清算は賃貸用の物件だと家賃や光熱費なども行います。
清算自体は不動産取引では一般的なのです。
利益が出たら確定申告が必要になる
固定資産税の清算は制度ではないため、その清算金は収益扱いとなります。
この影響が出るのが「確定申告」です。
清算金の申告をうっかり忘れると、ペナルティを課される場合もあります。
税務署も固定資産税の清算が行なわれるのは知っているため、申告ミスには厳しい態度で臨んできます。
まとめ
固定資産税は土地や建物を所有しているのであれば、毎年つきあわなければならいない税金です。
残念ながら固定資産税から逃れるすべはありません。
特に売買の局面では清算などで注目されます。
不動産を所有している限り支払う固定資産税ですが、その特徴や仕組みを理解、把握し、少しでも気楽につきあっていきましょう。
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