土地活用のリスクと専門家に相談することの大切さを解説します
土地活用は安定した資産運用です。
開始時に想定した入居率に大きな相違がなければ、毎月安定した家賃収入が入ってきます。
一方で入居率の下落や建物の不備など、建築資金が大きいだけにリスクが生じる可能性もあります。
今回のコラムでは土地活用のリスクと、専門家に相談することの大切さをお伝えします。
新築で入居率が落ちるケースとは
土地活用で建築する賃貸アパートは、新築ほど人気があります。
定義上でみると新築とは築1年未満の物件を指します。
築1年を超えても、築年数が浅いほど入居率は高い傾向にあります。
では、そのなかで新築ながらも入居率が落ちるケースがあります。
土地活用を開始するオーナーの多くは現金一括ではなく、金融機関からアパートローンを借りて請負建築(オーナーの建築費負担)にて物件を建築します。
入居率が落ちると当初想定していた十分な家賃収入が確保できず、持ち出しをせざるを得ません。
まずは物件の建築時にどのようなリスクが考えられるかを見ていきましょう。
物件がニーズに合致していない
第一に考えられる理由は物件がニーズに合致していない状況です。
ファミリータイプの需要があるのにワンルームが多いことや最寄り駅からの距離などです。
地域のニーズには合致していても、同様の物件が多いと入居率が維持できない可能性もあります。
また前提として、その地域への人口流入も強く関与します。
現在日本は急速な少子高齢化が進んでいます。
年によって差異がありますが、1年に亡くなる方は約120万人から130万人です。
一方で1年に誕生するのは70万人のため、単純計算ですが1年あたり約60万人が減少している計算になります。
もちろん人口減少には地域差がありますが、都市部・地方問わず減少傾向にあることは間違いなく、長期的に見たときに物件運営には大きな影響があります。
ニーズに合致した物件を建築するためには、綿密な市場調査が欠かせません。
専門性の高い不動産の専門家に相談しながら、物件の方向性を決めていきましょう。
建築した物件をいくらで貸すかという家賃設定も重要です。
適性価格以上に高ければ入居率に悪影響をもたらしますし、低ければ入居率が高くなっても、安定した家賃収入を得られません。
では新築時を超えたら、土地活用に目立ったリスクは無いのでしょうか。
次に留意するのは、日本人の持つ強い新築志向です。
築年数とともに入居率を下げない工夫とは
日本は新築志向が強いです。
同等の魅力を持つ物件でも、築年数とともに人気が無くなります。
近年物件探しの中心となっているインターネットでの物件検索では「築年数」で条件を絞る物件検索機能が頻繁に使われており、土地活用の大きな課題です。
前項の物件定義が建築時(イニシャル)の課題ならば、こちらは運営時(ランニング)の課題と定義できるでしょうか。
このように、築年数とともに「自分たちの物件が選択肢から外れないようにする」工夫が必要です。
インターネットでは自動算定でコントロールが難しいため、リアルの不動産仲介で物件を案内して貰えるような工夫が求められます。
具体的には以下の2点です。
定期的なリノベーションによる物件への注目
1つは定期的なリノベーションなどによる物件への注目です。
入居率を維持する物件は品質維持のために、定期的にメンテナンスしています。
大規模なリノベーションが難しくとも、部分部分の補修や清掃なども含まれます。
ポイントになるのは前の入居者の退去時です。
経年劣化は不動産オーナーか、不動産会社の負担になりますが、そのまま次の入居希望者の内見などに進むと「想定していたより汚い」と悪印象を持たれてしまうことがあります。
仮に入居者負担となった場合も先にメンテナンスを済ませてから支払を求めることを推奨します。
前の入居者の負担による補修なのか、オーナー側による補修なのか、入居検討者にはあまり関係がないためです。
敷金の特例や募集時のADを活用する
物件の販売時に広告宣伝費を支払うことも検討しましょう。まだ多くの物件では、入居時に敷金や礼金を支払います。
これらの費用を一時的に撤廃することで、入居者を呼び込みやすくなります。
また不動産募集時にはADという概念があります。ADはadvertisement(アドヴァタイズメント)の略で、オーナーから募集業者に支払う広告宣伝費のことです。
物件の入居者を紹介すると、不動産仲介業者には仲介手数料が入ります。
ADは仲介手数料とは別に広告宣伝費として支払う仕組みで、不動産業界の管轄である国土交通省が支払いを正式に認めているものです。
これらの特別な出費は、不動産事業の収益を一時的に抑制させるものです。
ただ、回避して通常通りの募集を続けたために新たな入居者が入らず、1年スパンで見たときに収益が低下してしまう恐れもあります。
信頼できる不動産コンサルティング業者など、専門家に相談し、土地活用を安定軌道に乗せるための工夫を続けていきましょう。
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