「うなぎの寝床」の土地活用について
土地活用は基本的に整形地を想定しています。
整形地の定義は「正方形または横に長い長方形の土地で、一定の間口を道路に接していなければいけない」といったルールがあります。
ところが日本には古都である京都などに間口が狭く、土地内部を進むにあたって奥行きが広がる不整形地も目立ちます。
まるでアルファベットのLを上下逆にしたような形態は、「うなぎの寝床(鰻の寝床)」と称されます。
うなぎの寝床にて土地活用をする際のデメリット
うなぎの寝床にて土地活用をする際のデメリットには、どのような点があるのでしょうか。
一般的な設計が適用しづらい
1つは設計の問題です。
土地活用を考える際、モデルとなる建物(上物)の設計があります。
ハウスメーカーの物件が類似した形になるのは、モデルを基本としているためです。
このモデルを適用すればハウスメーカーに所属する設計士の稼働時間が減り、建築価格を安く提供することができます。
またモデル型はハウスメーカーが自信を持って提供しており、総合的なデザインと機能性が優れているという担保付きでもあります。
しかし、「うなぎの寝床」と言われる不整形地は、このようなモデル型や一般的な設計が適用しづらく、土地の形に合わせた設計が必要となります。
建築物の入口は道路に接していなければならず、土地によっては設計ができないと判断される可能性もあるでしょう。
その分の設計費用は見積に反映されるため、土地活用のハードルが上がってしまう面があります。
入口が狭いと建築費が高騰する
うなぎの寝床における土地活用で割高になってしまうのは設計費だけではありません。
設計以外の建築費用も同様に割高となります。
その理由として、街中でよく見る工事現場をイメージするとわかりやすいと思います。
トラックなどの資材運搬者は道路から建設地に入ります。
しかしながら、土地がうなぎの寝床だと、資材運搬に手間がかかるうえ、運搬中の車両の位置なども熟慮しなければなりません。
このようにうなぎの寝床を前提に土地を活用しようとすると、さまざまな制限が発生します。
では代替案として、どのような方法があるのでしょうか。
駐車場やトランクルームを検討する
一般的な賃貸アパート建築の代わりに、駐車場やトランクルームの建築を検討します。
これらの土地活用は道路に建築物が接している必要がありません。
実際に自動車1台入れそうな小道を進むと、10台以上の駐車スペースがあるような駐車場も見受けられます。
そのため、例え「うなぎの寝床」だとしても、土地活用は無理と諦めるのではなく、賃貸アパート以外の選択肢も含めて検討していきましょう。
なお、賃貸アパート以外で土地活用する際の大きなネックは、土地活用の大きなメリットである固定資産税と都市計画税の軽減措置が適用されないことです。
通常所有している土地に賃貸アパートなどの建物を建設して適切に管理(空き家にして放置しない)すると、固定資産税で1/6、都市計画税で1/3が軽減されます。
この節税メリットのために不動産投資ローン(アパートローン)を組み、空室リスクや家賃変動リスクと向き合う土地所有者も数多くいます。
それだけメリットの高い軽減措置といえるでしょう。
うなぎの寝床の相続について
キャッシュ獲得と同様に土地活用の動機となるのが相続です。
所有地を土地活用すると、発生した収入を相続税支払いの原資とすることができます。
また現金の相続に対し、土地活用中の土地を相続することで評価額を抑えることが可能です。
うなぎの寝床の土地評価は、一般的な評価方法に追加して寝床型土地である点を独自評価します。
まず、一般的な土地評価の計算式として、「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。
日本中の道路の多くには路線価が設定されており、その額にもとづいて土地を評価します。
路線価は行政機関のほか、国税庁のホームページでも確認することができます。
一方、路線価の設定されていない土地の場合は倍率方式を使います。
倍率方式は相続税評価額ではなく、固定資産税評価額にもとづいて計算します。
固定資産税評価額の金額に、土地ごとに設定してある倍率を計算するという流れです。
【路線価方式】
路線価10万円 各種補正率1.0 土地面積100㎡ の場合: 相続税評価額 = 10万円 × 1.0 × 100 = 1,000万円 |
【倍率方式】
固定資産税評価額1,000万円 倍率1.1 の場合: 相続税評価額 = 1,000万円 × 1.1 = 1100万円 |
うなぎの寝床には「奥行長大補正率」
うなぎの寝床の土地においても、路線価があれば路線価を使用し、無ければ倍率方式で計算します。
ここに奥行長大補正率という、うなぎの寝床に適用されそうな名称の補正率が適用されます。
土地活用で大切なのは、相続や土地の売却という出口を想定したところまでシミュレーションを徹底しておくことです。
先代から受け継いだ土地が多少いびつな形であったとしても放置せず、対応した施策を考えていきましょう。
それが最も土地所有のリスクを下げる最善策ともいえます。
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