兄弟間で土地を売買する際の税金や注意点
土地活用において、土地の移動に関する費用は軽視できない問題です。
土地権利の移動をすると売買契約となり、多額の売買費用が必要となります。
加えて売買すると不動産譲渡の税金がかかるほか、登記の費用や登記関連の税金も必要です。
売買の関連費用は1円でも軽減したいと誰しも考えますが、この費用群を兄弟間で土地を売買する際にはどのように変わるのでしょうか。
また兄弟間での売買は「○○円ね!」といった当事者合意になりやすいのですが、どのような問題点があるのでしょうか。
一般的な土地の売買に必要な費用
まず、一般的な土地売買について解説していきます。
土地売買を行う場合、いくらで売買するかの当事者合意が必要です。
仲介手数料などの関連費用や譲渡税の税額は、この合意金額によって決まります。
この原則は、兄弟間売買の解説においても重要な前提となるので、覚えておきましょう。
売買代金と不動産譲渡税・印紙税
まずは売買代金です。
不動産を購入する買主から売主に対して、相応の売買代金を支払います。
固定資産や相続の場合と異なり、売買代金は双方合意の金額です。
特定の土地が500万円のこともあれば、1億円になることも理論上あり得ます。
売買価格のことを「時価」という言い方をする場合もあります。
その金額に対してかかるのが、「不動産譲渡税(譲渡所得税)」です。
所得税のため、不動産を売却して売却益を得た売主側に課税されます。
譲渡所得の特徴は、売買価格から取得費と譲渡費用を控除できる点です。
譲渡所得 = 不動産の売却価格 ー (所得費+譲渡費用) |
取得費は売却する不動産の購入時に支払った仲介手数料や購入時の税金が対象です。
譲渡費用は売主として支払った仲介手数料や測量費、売買契約書の印紙代などが含まれます。
更地で売買するときの解体費用も含めることができます。
仲介手数料も売買価格の3%です。
つまり不動産の売買は、売買価格によって関連費用も、課税額も変わることがわかります。
特に兄弟間売買で著しく低い価格で売買したときの注意点です。
兄弟間の売買における税金
ではこの不動産の売買を、兄弟間で行う場合は何が変わるのでしょうか。
売買価格に様々な費用が変わるのであれば、合意のもと売買価格を100円にして、関連費用を抑えることを考える人がいます。
兄弟間での売買取引は「兄弟間売買」といい、法律的にも認められるものですが、意識的な譲渡税逃れは当然に看過されるものではありません。
なお兄弟間売買は不動産仲介会社に依頼する前提ではないため、仲介手数料については言及しません。
兄弟間売買は適正価格の売買を求められる
不動産売買の詳細は税務署に把握されています。
兄弟間売買で100円にした場合に税務署に売買行為をやり直しさせられることはありませんが、一般的な価格との差額を贈与したものとして、「みなし贈与」の対象になります。
その結果、市場における適正価格として売買した方が安くなる場合もあります。
みなし贈与の金額 = その物件の適正価格 ー 実際の売買価格 × 贈与税率 ー 控除額 |
適正価格の算出方法
兄弟間売買で適正価格といえる金額の目安は、相続時に使う路線価相当額です。時価の8割程度といわれています。
路線価相当額は 路線価 × 敷地面積 で、この路線価は国税庁のWEBサイトで公開されており、誰でも無料で確認することができます。
税務署は路線価については常に把握しているため、当事者売買で差額が発生したときには筒抜けになるという仕組みです。
なお当局が当事者合意をどうやって把握するかは、明らかになっていません。
恐らくノウハウがあるものと考えられます。
誰にもわからないだろうと考えないように
税務署のネットワークは強力です。
特に不動産売買においては、すべての取引を把握していると考えて間違いないでしょう。
また特徴として、売買直後に注意喚起されることはなく、一定期間が経過してから「あの時の売買取引はみなし贈与です」と訴求した注意をされます。
その時に売主は既に売却益をほかの用途に投入していたり、用途が固まっていたりします。
納めるべき金額を支払わずにいる場合は督促を受けます。
それでも支払いに応じなければ、所有資産に対して強制的な差押をされる可能性が高いです。
みなし贈与になることを認識していなかった、いま支払える金額がないといった交渉は意味を持ちません。
結果的に適正価格で売買する以上のコストを支払うことに繋がってしまいます。
兄弟間売買は専門家を介そう
とはいえケースによっては、買主から「100円でいいだろう」「税務署なんてどうせわからない」と思い込みの強い交渉が持ち込まれることが多いです。
対策としては閉鎖性の高い当事者取引から、司法書士や不動産の専門家を介して、公開性の高い取引にすることです。
税務署からも注意喚起の場合、まずコンタクトがされます。
専門家を介していれば、遵法意識があったことの証明にもなるでしょう。
万が一の納税リスクへの対処を、徹底したいものです。
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