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納税負担を軽減!納税猶予で土地を有効活用

公開日:2024/04/24
納税負担を軽減!納税猶予で土地を有効活用

土地は、誰もが一生に一度は関わる大切な資産です。

しかし、相続や贈与などにより土地を取得した際、多額の税金を一度に支払うことは容易ではありません。

こうした場合に活用できるのが「納税猶予」という制度です。

納税猶予とは、納税が一時的に猶予される制度であり、相続税や贈与税の納税を最長20年間延期することができます。

この制度を上手く活用することで、土地を所有し続けながら納税の負担を軽減し、土地の有効活用を図ることが可能になります。

例えば、相続した農地を賃貸に出したり、山林を間伐して木材を販売したり、空き地を駐車場として活用したりと、

様々な選択肢が考えられます。

収益を上げながら納税資金を準備することで、将来的な納税が可能となるでしょう。

一方で、納税猶予には一定の要件があり、適切な運用が求められます。この制度を理解し、メリット、デメリットを踏まえた上で、

自身の資産状況に合わせて最適な活用方法を検討することが重要です。

本コラムでは、納税猶予制度の概要から具体的な活用事例、注意点までを解説します。

土地の所有者の方々が、この制度を効果的に利用し、資産の有効活用につなげられるようサポートいたします。

納税猶予とは

納税猶予とは、相続や贈与により取得した土地、建物、株式などの資産に係る相続税や贈与税の納付を、一定期間延長できる制度です。

最長20年間、税金の納付を猶予することが可能になります。

この制度の対象となる資産は広範囲に及びます。

土地、建物、株式や投資信託などの有価証券、貸付信託の受益権など、相続税や贈与税の課税対象となるほとんどの財産が含まれます。

一方、現金や預貯金などの現金同等物は対象外となっています。

納税猶予の適用を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。

制度の趣旨は税負担の軽減にあり、猶予期間中に納税資金を確保するための適切な財産の管理運用が求められます。

具体的には、納税猶予の適用を受けた資産を換価や処分せずに引き続き事業や収益活動に活用する計画を国税当局に提出し、

承認を受ける必要があります。

納税資金の確保が適切に行われていないと判断された場合は、猶予期間の中途であっても納税を求められる可能性があります。

納税猶予には、相続税と贈与税の2つの種類があります。

相続税の納税猶予は、被相続人から資産を相続した際に発生する相続税について適用されます。

一方、贈与税の納税猶予は、生前贈与により資産を取得した際の贈与税に適用されます。

いずれの場合も、一定の要件を満たせば納税を最長20年間猶予することができます。

この制度を活用するメリットは、相続税や贈与税の一時的な負担軽減により、事業の継続や資産の有効活用を図れる点にあります。

例えば農地の賃貸や山林の間伐販売など、収益事業を通じて計画的に納税資金を準備することが可能です。

さらに、納税の分割払いなどと組み合わせることで、長期的な資金計画を立てやすくなります。

一方で、国税当局への定期報告など一定の条件を満たす義務もあり、要件を十分に理解した上での活用が求められます。

納税猶予は相続発生時の大きな負担を軽減し、スムーズな事業継続や資産の有効活用を可能にします。

不動産オーナーにとって大変有用な制度ですが、同時に一定の注意事項や条件もあります。

土地オーナーの方は、この制度を上手に活用し、資産継承と有効活用を両立させる必要があります。

納税猶予制度の適用要件について、次に詳しく解説します。

納税猶予の適用要件

納税猶予を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。

要件は相続税と贈与税でそれぞれ異なりますが、大きくは以下の3点が共通しています。

納税資金の確保計画の提出 納税猶予適用時に、猶予期間中の納税資金確保の具体的計画を国税当局に提出し、

承認を受ける必要があります。

単に「将来的に納税する」といった曖昧な計画では認められず、具体的な収入計画と資金準備の道筋を示す必要があります。

適切な計画がない場合は適用が認められません。

納税猶予適用資産の適正な利用

納税猶予の適用を受けた土地や建物、有価証券などの資産について、換価や処分をせずに引き続き事業やその他収益活動に

適正に利用する計画を立てる必要があります。

単なる保有では認められず、積極的な活用が求められます。

納税資金の管理状況の定期報告

国税当局に対し、納税猶予適用資産の利用状況と納税資金の確保状況について、定期的(おおむね1年に1回)に報告を行う義務があります。

規定の期限までに報告がない場合は、適用要件違反となる可能性があります。

このように納税猶予の適用には相応の条件がつきますが、それは制度の趣旨である「税負担の軽減と適正な納税」を実現するためです。

単に納税を先送りするのではなく、猶予期間中の確実な納税資金の確保が求められているのです。

相続税の納税猶予については、さらに以下の2つの要件があります。

・被相続人において一定の事業を行っていたこと
・相続人が被相続人の行っていた事業を継続する意思があること

つまり、相続した事業資産について納税猶予を受けるためには、被相続人の事業を引き継ぐ必要があります。

事業が中断されると納税猶予の適用要件を満たせなくなる可能性があります。

一方、贈与税の納税猶予には以下の要件があります。

・贈与を受けた方が一定の事業を行っていること
・事業の用に供するための贈与であること

贈与税の場合は、受贈者側の事業の継続が重視されています。

事業とは無関係な一般財産の贈与は適用対象外となります。

生前贈与による円滑な事業承継を支援することが目的です。

このように納税猶予には、租税負担の軽減と適正な納税確保のための様々な要件が設けられています。

要件を満たせなければ納税猶予は適用されず、一括納付が求められてしまいます。

制度の目的と要件をしっかりと理解した上での適切な活用が不可欠なのです。

納税猶予を活用した土地活用の事例

納税猶予制度を上手く活用することで、土地の所有を継続しながら有効活用を図ることができます。

以下では、具体的な事例をいくつか紹介します。

農地の賃貸 相続や贈与で取得した農地について納税猶予の適用を受け、その農地を第三者に賃貸して収入を得る方法があります。

農業を営む意思がない場合でも、農地を適切に賃貸することで納税資金を計画的に準備できます。

実際に東京都内の実家から相続した農地を活用した事例があります。

相続人は都内に住む会社員で農業は難しい状況でしたが、納税猶予を受けて周辺の農家に賃貸しました。

毎年一定の賃料収入が得られ、20年の猶予期間内に納税資金を着実に準備することができました。

山林の活用

山林地についても同様に、納税猶予を受けた上で間伐や伐採を行い、木材の販売収入を得ることが可能です。

林業の専門家に委託するなどして、計画的な山林経営を行うことが重要です。

長野県の実家から山林を相続した会社員の方は、納税猶予と併せて林業事業者に長期の山林管理を委託しました。

専門家による間伐と適切な木材販売により、20年で十分な納税資金を確保できたそうです。

さらに別の事例として、神奈川県の実家から相続した雑木林を、椎茸栽培用の原木林として活用した方もいます。

特殊な林業活用ですが、きのこ業者と連携して安定した収入を確保。納税資金の準備にもつなげられたそうです。

空き地の駐車場化

納税猶予の適用を受けた空き地を、一時的な駐車場として活用する方法もあります。

駐車場経営は土地の効率的な活用と並行して行え、計画的に資金を積み立てられます。

東京都内の空き地を相続した会社員は、納税猶予と合わせて月極駐車場に活用しました。

立地条件に恵まれた空き地だったため、駐車場需要も多く、年間数百万円の収入が得られたそうです。

猶予期間終了時に十分な納税資金が準備できたとのことです。

このように、納税猶予を利用しながら農地の賃貸、山林経営、駐車場経営など、様々な収益事業を行うことで、

土地の有効活用と納税資金の計画的な準備が可能となります。

大切なのは、具体的な運用計画と実行力、そして土地の特性や地域性を踏まえた創意工夫です。

納税猶予制度は柔軟な土地活用を可能にする有力なツールなのです。

納税猶予活用のメリット

納税猶予制度を適切に活用することで、土地オーナーは様々なメリットを享受できます。

主なメリットは以下の通りです。

一時的な納税負担の軽減

相続税や贈与税の納付を最長20年間猶予できることから、一時的な納税負担が大幅に軽減されます。

資金の重荷から解放され、事業の継続や土地の有効活用に注力できます。

特に高額な不動産を相続した場合、猶予がなければ多額の一時払いが必要となり、資金繰りが極端に悪化する可能性があります。

計画的な資金準備が可能 猶予期間中に収益事業等から徐々に納税資金を準備できるため、納税負担が分散されます。

一時払いによる多額の一括支払いリスクを回避できます。

さらに、猶予期間満了後も分納制度を利用できるため、より長期の資金計画が立てやすくなります。

事業の継続と承継

納税猶予の適用要件として、相続した事業の継続が求められます。

制度を適切に活用することで、事業資産の円滑な承継と事業の安定的継続が可能になります。

特に中小企業においては、事業の永続性確保に大きく寄与します。

事業資産の分散売却を避けられるメリットもあります。

有効な資産運用

納税猶予の適用を受けた土地や建物などを換金処分せずに保有し続けられます。

また、制度上、収益活動への利用が義務付けられているため、賃貸や駐車場経営など、資産の効率的な運用を図ることができます。

相続税対策としても有効 長期的な相続税対策の一環として有効に機能します。

親から子へ、代々にわたり資産を継承しやすくなり、資産の分散リスクを抑制できます。

納税猶予を繰り返し受けることで、中長期的な資産形成とスムーズな事業・資産承継を実現できます。

生前贈与の支援

贈与税の納税猶予も利用可能で、生前の事業承継や資産移転を円滑に行えます。

受贈者が事業を継続する際の負担を大幅に軽減できます。

このように納税猶予制度は一時的な納税負担の軽減だけでなく、事業の継続、資産の効率運用、相続対策、生前承継対策など、

様々な面でメリットをもたらします。

しかし一方で、制度の適切な運用が重要となります。

次のセクションでは、納税猶予を活用する上での注意点を解説します。

納税猶予の注意点

納税猶予は有用な制度ですが、一方で様々な注意点もあります。制度の要件を満たせなければ、猶予の適用が認められなかったり、

中途で取り消される可能性があります。

主な注意点は以下の通りです。

適用要件の厳格な運用

納税猶予の適用には、納税資金確保計画の提出や納税猶予適用資産の適正利用など、様々な要件があります。

単に「将来納付する」といった曖昧な計画では適用されません。

具体的で実現可能な計画を示し、要件を真摯に満たす必要があります。

定期報告義務と国税当局のチェック

納税猶予適用後も、資産の利用状況と納税資金の確保状況を定期的(概ね1年に1回)に国税当局へ報告しなければなりません。

報告を怠ると、要件違反となる可能性があります。

国税当局による実地調査もあり、適正な運用が徹底して求められます。

資産の換価・譲渡の制限

納税猶予適用資産の売却や処分は原則禁止されています。

例外的に一部売却などが認められる場合もありますが、納税資金を確保できる範囲に限られます。

無秩序な換金は認められず、資産の適正な保有と運用が義務付けられています。

事業承継要件の遵守

相続税の納税猶予を受ける場合、被相続人の事業を引き継ぎ、継続する義務があります。

事業の中断や縮小があると、要件違反となり猶予が取り消される可能性があります。

事業の永続的な継続が前提です。

納税資金の確実な確保

猶予期間中に計画どおり納税資金を確保できなければ、最終的に一括納付を求められます。

納税能力がない場合は、担税力に応じた納税が認められる場合もありますが、資産の換価処分などが必要になる可能性があります。

確実な資金確保が不可欠です。

制度変更による影響

将来的に制度が変更された場合、新制度への切り替えや追加条件の設定がある可能性もあります。

逐次制度変更に留意し、必要に応じて計画の見直しを行う必要があります。

相続人間の合意形成 相続人が複数いる場合、納税猶予の適用や運用方針について、全員の合意を得ることが求められます。

計画策定時から相続人間での調整が必要不可欠です。

このように、納税猶予には細かな注意事項が多数あり、制度を適切に運用するためのリスク管理が欠かせません。

要件を意識的に違反すれば、重加算税などの懲罰規定の適用や猶予取り消しなどのリスクもあります。

メリットを最大限に享受するには、これらの注意点を十分に理解し、適正な運用を心がける必要があります。

まとめ

今回は納税猶予制度について、その概要から具体的な活用事例、メリット、注意点までを詳しく解説してきました。

納税猶予は、相続税や贈与税の納付を最長20年間猶予できる大変有用な制度です。

相続や贈与で取得した土地や建物、株式などの資産について、一時的な納税負担を大幅に軽減できます。

さらに猶予期間中に収益事業などから計画的に納税資金を準備することで、負担の分散とリスク回避も可能になります。

また、納税猶予の適用要件として、相続した事業の継続や土地の適正な利用が求められます。これにより、

事業承継の円滑化や、土地の賃貸、山林経営、駐車場化など、様々な形での有効活用が図れます。

事例として農地の賃貸や山林の木材販売、空き地の駐車場化などを挙げましたが、創意工夫次第でさまざまな選択肢があります。

このように、納税猶予を活用すれば一時的な納税負担の軽減と、継続的な事業運営や資産の効率的な運用を両立できるのがメリットです。

さらに相続対策や生前贈与対策としても有効に機能します。

一方で、納税猶予には適用要件や運用ルールがあり、これらを守ることが制度活用の大前提となります。

納税資金確保計画の適切な策定と実行、資産の適正利用、定期報告義務の履行など、様々な点に注意を払う必要があります。

要件を満たせなければ、猶予の適用が認められず一括納付を求められる可能性があります。

場合によっては重加算税なども課される可能性もあり、適切な運用が欠かせません。

相続人間の合意形成や、制度変更への対応も重要なポイントです。

納税猶予は非常に有用な制度ですが、メリットを最大限に享受するには、その仕組みと注意点を熟知した上で、

慎重に活用していく必要があります。

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