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医療施設としての土地活用 ‐社会貢献と資産運用の両立を目指して‐

公開日:2024/06/28
医療施設としての土地活用 ‐社会貢献と資産運用の両立を目指して‐

はじめに

医療施設の需要と重要性

日本社会の高齢化が進む中、医療施設の需要は年々高まっています。

厚生労働省の統計によると、65歳以上の高齢者人口は2021年時点で約3,640万人、総人口に占める割合は29.1%に達しました。

この数字は今後も増加し続け、2040年には35.3%に達すると予測されています。

高齢化に伴い、慢性疾患や介護を必要とする人々が増加し、それに対応する医療施設の需要も拡大しています。

また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験し、地域医療の重要性が再認識されました。

このような社会背景から、医療施設は今後も安定した需要が見込める分野といえるでしょう。

土地活用としての医療施設の魅力

土地所有者にとって、医療施設としての活用は魅力的な選択肢の一つです。その理由として以下が挙げられます。

・安定した需要: 高齢化社会において、医療サービスの需要は長期的に安定
・社会貢献: 地域の健康と福祉に直接貢献できる事業
・長期的な資産価値: 適切に運営されれば、長期にわたり資産価値を維持
・税制優遇: 医療施設に関連する様々な税制優遇措置が存在

これらの特徴から、医療施設としての土地活用は、社会貢献と資産運用の両立が可能な選択肢として注目されています。

医療施設の種類と特徴

病院

病院は20床以上の入院施設を有する医療機関です。総合病院や専門病院など、規模や診療科目によって様々なタイプがあります。

大規模な土地と多額の初期投資が必要ですが、安定した収益が見込めます。

診療所

診療所は19床以下の小規模な医療機関です。

一般診療所や歯科診療所があり、地域のかかりつけ医として重要な役割を果たします。

比較的小規模な土地でも開設可能で、地域密着型の医療サービスを提供できます。

介護施設

介護施設には、特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホームなどがあります。

高齢者人口の増加に伴い需要が高まっている分野。土地の広さや立地条件によって様々な形態の施設開発が可能です。

薬局

調剤薬局や一般薬局があり、医療施設の近隣に立地することで相乗効果が期待できます。

比較的小規模な土地でも開設可能で、医療モールの一角を占めるテナントとしても人気があります。

医療モール

複数の診療所や薬局、介護サービス事業所などを一つの建物に集約した施設です。

利用者の利便性が高く、各テナント間の相乗効果も期待。

中規模以上の土地で開発することが多く、都市部や郊外の商業地域などで人気があります。

医療施設開発の法的要件と規制

建築基準法と都市計画法

医療施設の建設には、一般の建築物と同様に建築基準法と都市計画法の規制が適用されます。

用途地域ごとの建築制限や、建ぺい率・容積率の制限などを遵守する必要があります。

また、大規模な開発の場合は開発許可が必要となることがあります。

医療法の規制

病院や診療所の開設には医療法に基づく都道府県知事の許可が必要です。

また、施設の構造設備や人員配置についても詳細な基準が定められています。

例えば、病院では患者数に応じた病床面積や、医師・看護師の人数などが規定されています。

介護保険法の規制

介護施設の開設には介護保険法に基づく都道府県知事の指定が必要です。

施設の種類ごとに、人員、設備及び運営に関する基準が定められています。

また、地域ごとの介護保険事業計画に基づいて施設の総量規制が行われる場合もあります。

開発許可と建築確認申請

医療施設の開発には、都市計画法に基づく開発許可と建築基準法に基づく建築確認申請が必要です。

これらの手続きには専門的な知識が必要なため、一般的には建築士や行政書士などの専門家に依頼することが多いでしょう。

医療施設開発のメリット

安定した需要と収益性

前述の通り、高齢化社会において医療サービスの需要は長期的に安定しています。

適切な立地選定と運営を行えば、安定した収益を長期にわたって得られる可能性が高いです。

特に介護施設や高齢者向け医療サービスは今後も需要の増加が見込まれます。

社会貢献と地域貢献

医療施設の開発は、地域の健康と福祉に直接貢献する事業です。

住民の健康増進や疾病予防に寄与し、雇用創出にも繋がります。

このような社会貢献性の高さは、事業者の社会的評価を高めるとともに、行政との良好な関係構築にも寄与します。

税制優遇措置

医療施設に関連する様々な税制優遇措置が存在。

例えば、病院用地に係る固定資産税の軽減や、医療法人が取得する一定の不動産の登録免許税の軽減などがあります。

また、介護施設に関しても同様の優遇措置が設けられています。

長期的な資産価値の維持

適切に運営される医療施設は、長期にわたり資産価値を維持できる可能性が高いです。

特に高齢者人口の多い地域では、医療・介護施設の需要が継続的に見込めるため、

不動産としての価値も維持されやすいといえるでしょう。

医療施設開発の課題とリスク

初期投資の大きさ

医療施設の開発には多額の初期投資が必要です。

特に病院や大規模な介護施設の場合、建設費用だけでなく、医療機器の購入費用なども考慮する必要があります。

資金調達や投資回収計画を慎重に検討することが重要です。

運営ノウハウの必要性

医療施設の運営には専門的なノウハウが必要です。

医療法人や介護事業者との連携が不可欠であり、単なる不動産賃貸業とは異なる知識や経験が求められます。

適切なパートナーを選定し、長期的な協力体制を構築することが成功の鍵となるでしょう。

医療制度改革のリスク

医療・介護制度は定期的に改革が行われており、これらの変更が事業に影響を与える可能性があります。

診療報酬や介護報酬の改定、医療制度の変更などを常に注視し、柔軟に対応できる体制を整えておく必要があります。

競合との差別化

医療施設の需要が高まる一方で、競合も増加しています。

特に都市部では、医療施設の過剰供給が問題となっている地域もあります。

立地選定や施設の特徴づけ、サービスの質の向上などを通じて、競合との差別化を図ることが重要です。

医療施設開発の進め方

市場調査と需要分析

市場調査では、以下の点に特に注目します。

・地域の人口動態(年齢構成、将来予測)
・既存の医療施設の分布と特徴
・地域の疾病構造と健康課題
・交通アクセスと患者の移動パターン
・地域医療計画や介護保険事業計画の内容

これらの情報を総合的に分析し、当該地域にどのような医療サービスが求められているかを把握します。

例えば、高齢者人口が多い地域では、慢性疾患管理や在宅医療の需要が高い可能性があります。

一方、若い世代が多い地域では、小児科や産婦人科のニーズが高いかもしれません。

事業計画の策定

事業計画には以下の要素を含めます。

・施設の概要(種類、規模、提供サービス)
・投資計画(初期投資額、資金調達方法)
・収支計画(売上予測、運営コスト、利益見込み)
・人員計画(必要な医療従事者数、採用計画)
・マーケティング戦略(患者獲得方法、広報計画)
・リスク分析と対策

特に収支計画は慎重に立てる必要があります。

医療施設の場合、診療報酬や介護報酬が収入の中心となるため、これらの制度改定の影響も考慮に入れたほうが良いでしょう。

資金調達

医療施設開発には多額の資金が必要となるため、以下のような多様な資金調達方法を検討します。

・自己資金
・金融機関からの借入(銀行融資、日本政策金融公庫の融資など)
・補助金・助成金(地域医療介護総合確保基金など)
・リース活用(医療機器など)
・医療機関との共同事業

特に、公的な補助金や低利融資制度の活用は重要です。

例えば、地域医療介護総合確保基金では、地域包括ケアシステムの構築に資する事業に対して補助金が交付されます。

こういった制度を積極的に活用することで、初期投資の負担を軽減できる可能性があります。

設計と施工

医療施設の設計では、以下の点に特に注意を払う必要があります。

・バリアフリー設計(段差解消、手すり設置など)
・感染症対策(換気システム、隔離室の設置など)
・医療機器の適切な配置と動線計画
・患者のプライバシーへの配慮
・将来的な拡張や用途変更の可能性

例えば、診療所の設計では、待合室の配置や診察室の防音性、車椅子利用者への配慮などが重要になります。

また、介護施設では、入居者の生活の質を高めるためのコミュニティスペースの設置や、介護職員の業務効率を

考慮したスタッフステーションの配置なども重要です。

テナント誘致と運営体制の構築

医療モールの場合、テナントの組み合わせが成功の鍵を握ります。

以下のような点を考慮してテナントを選定します。

・地域のニーズに合った診療科の組み合わせ
・相互に相乗効果が期待できる業種の選定
・安定した経営基盤を持つ医療機関の誘致
・地域の医療機関との良好な関係構築

例えば、内科と整形外科、リハビリテーション科を組み合わせることで、慢性疾患管理から運動器疾患の治療、

リハビリまでをカバーできる総合的な医療サービスが提供可能になります。

また、運営体制の構築では、以下の点に注意を払うことが重要です。

・施設全体の管理責任者の選定
・共用部分の維持管理計画の策定
・テナント間の調整機能の確立
・緊急時対応マニュアルの整備
・患者情報の適切な管理体制の構築

成功事例紹介

都市部での大規模医療モール開発

この事例では、駅前という好立地を活かし、多様な医療ニーズに応える総合的な医療サービスを提供しています。

成功の要因として以下が挙げられます。

・充実した診療科目(内科、外科、小児科、産婦人科、眼科、耳鼻科など)
・最新の医療機器の導入(MRI、CT、内視鏡など)
・利便性の高いワンストップサービス(診療・検査・薬局がすべて建物内で完結)
・充実した健診センターの設置(企業健診や人間ドックの需要に対応)

また、テナントとして有名病院の分院を誘致したことで、ブランド力と高度な医療サービスの提供が可能になりました。

さらに、施設内に医療モール専門の管理会社を設置し、テナント間の調整や共用部分の管理を一元化することで、

効率的な運営を実現しています。

地方都市での地域密着型診療所開発

この事例の特徴は、地域のニーズに徹底的に寄り添ったサービス提供です。

具体的には以下のような取り組みを行っています。

・在宅医療の積極的な展開(24時間対応の訪問診療)
・地域の介護施設との連携強化(定期的な往診や看取りケアの提供)
・健康教室の定期開催(生活習慣病予防、認知症予防など)
・地域の祭りや行事への積極的な参加

また、電子カルテシステムの導入により、患者情報の一元管理と他の医療機関との連携強化を図っています。

これにより、地域包括ケアシステムの中核を担う存在として認知されるようになりました。

介護施設と連携した複合型医療施設

この事例では医療と介護の連携により、切れ目のないケアを実現しています。

具体的には以下のような特徴があります。

・診療所と介護施設の一体的運営
・電子カルテと介護記録の連携システムの導入
・医師と介護職員の定期的なカンファレンスの実施
・リハビリテーション施設の充実(医療保険と介護保険の両方に対応)
・認知症ケアに特化したユニットの設置

また、地域の医療・介護関係者向けの研修会を定期的に開催し、地域全体の医療・介護の質の向上にも貢献しています。

これにより、地域包括ケアシステムのモデルケースとして、行政からも高い評価を得ています。

医療施設開発における最新トレンド

ICTの活用

医療分野におけるICT(情報通信技術)の活用が進んでいます。

医療施設開発においても以下の取り組みが見られます。

・オンライン診療システムの導入
・AI問診システムの活用
・IoTデバイスを活用した患者モニタリング
・電子カルテの高度化と医療機関間での情報共有

これらの技術を活用することで、医療の質の向上と効率化が期待できます。

施設設計の段階から、これらのシステムの導入を前提とした設備や配線計画が必要となるでしょう。

環境配慮型施設

持続可能な社会への関心が高まる中、医療施設においても環境配慮型の開発が注目されています。

・省エネルギー設備の導入(LED照明、高効率空調システムなど)
・再生可能エネルギーの活用(太陽光発電、地中熱利用など)
・自然光や自然換気を活かした設計
・環境負荷の少ない建材の使用

これらの取り組みは、環境保護に貢献するだけでなく、長期的には運営コストの削減にもつながります。

また、環境に配慮した施設運営は、社会的評価の向上にも寄与します。

災害対応力の強化

近年の大規模災害の経験を踏まえ、医療施設の災害対応力強化が重要視されています。

・建物の耐震性能の向上
・非常用電源の確保(自家発電設備、蓄電システムなど)
・水・食料の備蓄
・BCP(事業継続計画)の策定

特に、地域の災害拠点となる可能性がある大規模医療施設では、これらの対策が不可欠です。

災害時にも医療サービスを継続できる体制を整えることで、地域社会への貢献度が高まり、

施設の価値向上にもつながります。

医療施設開発の将来展望

地域包括ケアシステムへの対応

今後、地域包括ケアシステムの構築がさらに進むと予想されます。

医療施設開発においても、以下のような視点が重要になります。

・医療・介護・予防・生活支援・住まいの一体的提供
・多職種連携を促進する施設設計
・地域の医療・介護資源との連携を前提とした機能分化

例えば、診療所、訪問看護ステーション、通所リハビリテーション、居宅介護支援事業所などを一体的に整備し、

地域の中核的な存在となる複合施設の開発などが考えられます。

健康経営の視点

企業の健康経営への関心が高まる中、医療施設にもその視点が求められるようになっています。

・企業向け健康管理サービスの提供
・予防医学・健康増進プログラムの充実
・働き方改革に対応した診療時間の設定(夜間・休日診療など)

これらのニーズに応える医療施設は、企業との連携や健康保険組合からの支持を得やすく、

安定した患者獲得につながる可能性があります。

国際化への対応

インバウンド需要の回復や在留外国人の増加を見据え、以下のような国際化対応も検討課題となるでしょう。

・多言語対応の案内表示や説明資料の整備
・通訳サービスの提供
・海外の医療保険に対応した事務体制の構築
・文化や宗教の違いに配慮したサービス提供

特に都市部や観光地では、これらの対応が差別化要因となる可能性があります。

まとめ

医療施設としての土地活用は、社会的ニーズと事業の安定性を両立できる選択肢として、

今後も注目され続けるでしょう。

しかし、その成功のためには、綿密な市場調査、適切な事業計画の策定、法規制の理解と遵守、専門家との連携など、

多くの要素が必要となります。

また、医療を取り巻く環境の変化にも常に注意を払い、柔軟に対応していく姿勢が重要です。

ICTの活用、環境への配慮、災害対応力の強化など、最新のトレンドを取り入れることで、

より付加価値の高い施設開発が可能となります。

さらに、将来的な展望として、地域包括ケアシステムへの対応や健康経営の視点、

国際化への対応なども視野に入れておく必要があります。

これらの要素を総合的に考慮し、地域のニーズに合った、持続可能な医療施設を開発することが、成功への近道となります。

医療施設の開発は、単なる不動産投資にとどまらず、地域社会への貢献と事業の安定性を両立できる

意義ある土地活用といえるでしょう。

社会貢献と資産運用の両立を目指す土地所有者にとって、医療施設開発は非常に魅力的な選択肢の一つです。

私たち大倉では、「TOTIKATSUplus」を通して、土地活用、資産運用などに関するHow toや成功事例、

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