人気の土地活用術!駐車場ビジネスの始め方と成功のコツ
日本の都市部では、人口集中や車社会の進展に伴い、駐車場不足が深刻な問題となっています。
特に都心部では、オフィスビルや商業施設の立地が進む一方で、駐車スペースの確保が追いついていない状況にあります。
結果として、駐車場の需要と供給のアンバランスが生じ、駐車場料金の高止まりや、路上駐車の問題など、様々な弊害が発生しています。
一方で、個人や企業が所有する未利用地が全国に多数存在しています。
住宅地の空き地や、工場跡地など、利活用の方策が見つからずに放置されているケースが後を絶ちません。
こうした遊休地を有効活用できれば、土地オーナーにとっても新たな収益源を得られる可能性があります。
このような状況の中で、土地の有効活用の一つとして注目されているのが「駐車場ビジネス」です。
駐車場ビジネスは、自身の所有地を駐車場として改装・運営することで収益を得る事業です。
都市部の駐車場不足に対応できるだけでなく、土地オーナー側にとっても資産の有効活用につながるメリットがあります。
初期投資が比較的少額で済むことや、管理が手軽であることなどから、個人でも取り組みやすいビジネスモデルとして、
近年、駐車場ビジネスの人気が高まっています。
本コラムでは、こうした土地活用の有力な選択肢として駐車場ビジネスに着目し、その特徴と始め方、成功のポイント、実際の事例などをご紹介します。
駐車場需要の高い地域で遊休地を所有する方は、ぜひ駐車場ビジネスの可能性を検討してみてはいかがでしょうか。
土地活用の選択肢として駐車場ビジネスが人気の理由
駐車場ビジネスが土地活用の有力な選択肢として人気を集める理由は主に以下の3点が挙げられます。
需要が根強い
駐車場の需要は都市部を中心に根強いものがあります。
日本の自動車保有台数は年々増加の一途を辿っており、駐車場の確保が不可欠な状況が続いています。
2022年度末の自動車保有台数は約8,300万台と過去最高を更新し、今後も増加が見込まれています。
加えて、都市部ではオフィスビルや商業施設の新設に伴い、駐車場需要がさらに高まる傾向にあります。
例えば、東京23区内の駐車場稼働率は常に90%を超える水準で推移するなど、需要の高さがうかがえます。
一方で、駐車場の新設用地が都心部で確保しづらい現状があり、供給が需要に追いついていない状況が続いています。
このため、駐車場ビジネスには安定した需要が見込めると言えるでしょう。
初期投資が比較的少なくて済む
駐車場ビジネスの大きな魅力は、他の不動産ビジネスに比べて初期投資が比較的少額で済むことです。
土地さえあれば、アスファルト舗装と駐車スペースの区画引き、管理室の設置など、最低限の整備で事業を始められます。
建物の新築が不要なため、投資額を数百万円から数千万円程度に抑えられるのがメリットです。
また、遊休地を活用する場合は、土地の購入費用もかからず、初期コストをさらに下げられます。
例えば100坪の土地を活用した場合、初期投資額は1,000万円前後と試算されています。
管理が手軽
駐車場の運営管理は、比較的手間がかからない方です。
常駐の人員を配置する必要はなく、定期的な巡回点検と清掃を行えばよいでしょう。
駐車料金の徴収も、最近では無人運営による自動精算機の利用が一般化しています。
人件費を大幅に抑えられるため、管理コストが低く抑えられます。
管理会社に一括して委託することも可能で、オーナー自身の手間も最小限に済みます。
専門の管理会社に委託した場合でも、月額10万円前後が目安とされています。
このように、需要の確実性、投資額の抑制、管理の手軽さといったメリットから、駐車場ビジネスは手堅い土地活用の選択肢として
人気が高まっているのです。
遊休地の有効活用を検討中の土地オーナーにとって、参入障壁が比較的低く、魅力的なビジネスモデルと言えるでしょう。
駐車場ビジネスの始め方
駐車場ビジネスに興味がある方は、始める前に以下の3点をしっかりと押さえる必要があります。
立地条件の重要性
駐車場ビジネスでは立地が何よりも重要になります。
需要が見込める場所に土地があるかどうかが、事業の成否を大きく左右するからです。
おすすめの立地条件としては、駅や商業施設、オフィス街などの駐車需要が高い場所があげられます。
特に最寄り駅から徒歩10分程度の位置は需要が高く、好立地と言えます。
一方、住宅街の中といった需要が見込めない場所では事業が成り立ちにくいでしょう。
実際に、東京23区内で月極駐車場の稼働率が90%を超える水準にあるのは、駅から徒歩10分圏内の立地がほとんどです。
立地選びの重要性がうかがえる数字と言えます。
必要な許可と届け出
駐車場の開設には、自治体への「駐車場営業の許可申請」が必要となります。
開設者の資格要件のほか、駐車台数や出入口、照明、消火設備など、様々な構造設備基準をクリアする必要があります。
また、一定規模以上の駐車場では、建築確認申請や都市計画法に基づく開発許可なども求められます。
開設に当たっては、自治体の窓口に相談し、手続きの確認を怠らないようにしましょう。
手続きを怠ると、営業停止命令を受けるリスクもあります。
必要な設備投資
駐車場開設に伴う設備投資も決して軽くはありません。
まず土地の舗装工事が必要で、アスファルト舗装や区画線の費用がかかります。
駐車場の出入口には、ゲートやシャッターの設置が義務付けられています。
また、照明やカメラ、自動精算機の設置も避けて通れません。
さらに管理室の新設も検討する必要があるでしょう。
これらの設備投資の総額は、駐車場の規模にもよりますが、少なくとも数百万円から1,000万円程度は覚悟しなければなりません。
100台規模の駐車場なら、設備投資額は800万円前後が目安です。
このように、駐車場の立地条件、法的手続き、設備投資など、事前に多くの準備が必要となります。
十分な調査と計画を経て、地域の需要に見合った適切な駐車場を用意することが、ビジネスの成功に欠かせません。
気になる点があれば、専門家に相談するのも賢明な選択でしょう。
成功する駐車場経営のポイント
駐車場ビジネスを成功に導くには、以下の3点がポイントとなります。
適正な料金設定
収益を確保するうえで、適正な駐車料金の設定が極めて重要です。
料金が高すぎれば利用者が離れ、低すぎれば採算が取れません。
まずは立地や付加価値サービスなどを踏まえて、その地域の適正水準を調査する必要があります。
例えば東京23区内の月極駐車場の平均料金は、3万円前後が相場とされています。
同時に、競合の駐車場との料金競争にもなりますので、近隣の状況も考慮に入れましょう。
収入源としては、月極駐車場と時間貸し駐車場の両方を検討するのがおすすめです。
月極は入庫者の確保が課題ですが、安定収入が期待できます。
一方の時間貸しは、空車スペースを有効活用できるメリットがあります。
両方を組み合わせることで、収支の安定化を図れるでしょう。
また、夜間や休日は割引料金を設定するなど、時間帯による料金変動も検討材料です。
効果的な広報とIT活用
空車スペースを埋めるためには、しっかりとした広報施策が不可欠です。
看板の設置のほか、チラシ配布やウェブサイト、SNSでの情報発信など、様々な手段を組み合わせる必要があります。
特にスマートフォンアプリの活用は有効な手段と言えます。
GPSを使った駐車場検索から、スムーズな決済まで一括して行えるため、利用者の利便性が格段に高まります。
最新の事例では、AIやIoTを活用して、空車スペース情報をリアルタイムで配信するシステムも登場しています。
効率的な駐車場運営を実現できるだけでなく、利用者にとってもストレスの少ないスムーズな利用が可能になります。
ITの進化に注目し、積極的に取り入れていくことが重要です。
バリアフリー化によるサービス向上
高齢者や障がい者の利用を考慮し、バリアフリー化を図ることも重要なポイントです。
出入り口の段差の解消、車椅子用の駐車スペースの確保、身体障がい者用のトイレの設置など、ハード面の対応が求められます。
加えて、適切な案内表示や、係員の対応マニュアル作りといったソフト面の対策も欠かせません。
バリアフリーへの配慮により、利用者層を広げ、差別化を図ることができます。
このように、料金設定、広報、サービス向上の3点に注力することが、駐車場経営における成功のカギとなります。
地域の実情に合わせて、きめ細かく対策を講じることが肝心です。
事業運営に当たっては、専門の経営コンサルタントに相談するのも一つの方法でしょう。
駐車場ビジネスの事例
これまで、駐車場ビジネスの特徴や始め方、成功のポイントをご説明してきました。
ここからは、具体的な事例をご紹介します。
大手チェーン駐車場
大手の駐車場チェーン企業による事例をご紹介します。
東京・渋谷区の駅前に位置する大型駐車場(約300台収容)がこれにあたります。
この駐車場は、地下1階から地上4階建ての立体駐車場で、最新のIT設備が導入されています。
具体的には、駐車場入口にゲートがなく、ナンバー認識システムで自動的に入出庫管理を行います。
また、各フロアの空車スペース情報がリアルタイムで把握でき、誘導案内表示に反映されます。
さらに、スマホアプリから事前に駐車場を予約することも可能です。
運営面でも工夫が凝らされており、障がい者用の広々とした駐車スペースを各フロアに確保するなど、ユニバーサルサービスに配慮しています。
また夜間は割引料金を設定するなどの料金施策や、期間限定で隣接する商業施設での割引サービスを行うなど、利用促進策も実施しています。
個人経営の駐車場
次に、個人が経営する小規模な駐車場事例をご紹介します。東京・中野区の閑静な住宅街に位置する約20台収容の駐車場です。
この駐車場は、資産家の方がご自宅の空き地を有効活用するために開設したものです。
当初は通勤者向けの月極駐車場としてスタートしましたが、立地場所の特性を活かし、現在は時間貸しの駐車場として
主に近隣の住民の方に利用されています。
運営は経費削減を意識して簡素化されており、自動精算機を設置するのみで人員を配置していません。
ただし、防犯カメラを複数台設置するなどの安全対策は行っています。
また、広報面では、オーナー自身がチラシを作成し、近隣の企業や商店に配布するなど、地道な営業活動を続けています。
収支状況は順調で、月収約20万円の黒字が計上できているそうです。
隣接地の空き地も追加で借り入れて拡張を検討中だとか。
土地の賢い活用方法の一例と言えるでしょう。
このように大手と個人では、規模やサービス内容は大きく異なりますが、適切な立地選定と合理的な運営を行えば、
十分に収益が上げられることが分かります。
土地活用の選択肢の一つとして、駐車場ビジネスは魅力的なものがあると言えるでしょう。
まとめ
本コラムでは、土地の有効活用策としての駐車場ビジネスについて、その概要や始め方、成功のポイント、具体的な事例などを
ご紹介してきました。
駐車場ビジネスでは、需要が見込める好立地への出店が成功の大前提となります。
同時に、事業開始に当たっては、自治体への許可申請や設備投資など、一定の準備作業が必要不可欠です。
しかし、他の不動産ビジネスに比べれば参入障壁は低く、個人でも取り組みやすい分野だと言えます。
一方で、経営面での工夫も欠かせません。
適正な料金設定、効果的な広報、バリアフリー化によるサービス向上など、様々な対策を講じることが求められます。
ITの進化に注目し、新しいシステムの導入も検討する価値があるでしょう。
大手企業と個人経営では規模や手法に違いはあれ、立地と合理的な運営次第では、十分に収益を上げられることが分かります。
このように、駐車場ビジネスには様々な可能性とメリットがあります。
遊休地の有効活用を検討中の土地オーナーの方には、ぜひ一つの選択肢として検討していただきたい事業です。
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